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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第32章  裏切り者達


「イヤイヤイヤイヤ…それは…おかしいでしょ」

 何か知ってることがあったら話してくださいよ…人類の全滅を防ぐ以上に重要なことなんて無いでしょう、と言うエレンの声。
 私もまったくもってその通りだと思う。だけど…現実はそう単純ではないらしい。本当にもう、嫌になるほどに…。

 もしもウォール教がこの秘密をもっと早くに公表してくれていれば…もっと違う未来があったかもしれない。この人達の言う「原則」って、自分たちの利益のためだけに決めたルールじゃないか。そんなもののために私達兵士は…何も知らないまま壁外で死んできたなんて…。

 そう思うと胸が鉛のように重くなり、やるせない気持ちで張り裂けそうだった。

 しばらく黙っていた兵長が、懐に忍ばせた拳銃をニック司祭にグリグリと押し付けて脅した後、ハンジ分隊長に言った。

「それはさておきだ…ハンジ、お前はただの石ころで遊ぶ暗い趣味なんてあったか?」

 確かに、荷馬車に乗り込んだ時から分隊長はその石を握り締めていた。私もずっと気になっていたのだ。

「これはただの石ころじゃない…。女型の巨人が残した硬い皮膚の破片だ」

 それを聞いて私は、なぜそんなものをわざわざ持ってきたのだろう?と思った。エレンとミカサも黙っているので、もしかしたら同じことを考えているのかもしれない。

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