第32章 裏切り者達
その後すぐに、この日の出来事を総括するための会議が開かれた。何と私にも会議への参加の許可が下りたのだが、私はエレンの様子がどうしても気になり、先に彼の様子を見に行くことにした。
私と同じく会議への参加を認められたアルミンと会議室の前でばったりと出くわしたので、エレンが今どこにいるのかを聞いた。
「今は地下室で眠っています。ミカサが様子を見ています」
「ありがとう」
私は少し早足になりながら地下室に向かうと、教えてもらった部屋の扉をノックした。
「どうぞ」
中から返事が聞こえてから扉を開けると、ベッドサイドで椅子に腰掛けているミカサの姿があった。私の顔を見ると、張りつめていた彼女の表情が少しだけ弛んだ様に見えた。
ミカサは口数が少なくクールな子なので、まだ先輩兵士達とは十分に打ち解けられていないが、エレンの絵を通じて交流のある私に対しては気を許してくれているようだった。
「お疲れ様。エレンの様子はどう?」
「今はまだ眠っています。巨人化の負担が大きいようです…」
「そっか…」
私は壁際にあった椅子を引いてきて、ミカサの隣に腰掛けた。ベッドで眠るエレンは、その整った顔立ちのせいでまるで人形のように見えた。顔色が青白くなっているので余計にそう見えてしまう。