第32章 裏切り者達
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予定の時刻よりも少し遅れて、エルヴィン団長達はやってきた。
団長付きの兵士の他にミカサとアルミンの姿もあって、それを見たエレンはとても驚いているようだった。
皆にお茶を出し終えると、私もエルヴィン団長による作戦説明を聞くためにテーブルの端の席についた。
説明を進めていくエルヴィン団長は、時折険しい表情をするものの、概ね淡々とした事務的な口調だった。
団長はいつだって冷静沈着だけど、その内側には誰よりも熱いものを秘めていると感じている。そういうところは、リヴァイ兵長と似ているかもしれない。
いや、団長や兵長だけに限らず、ハンジ分隊長だって…みんな心の中には熱い想いを持っている。そうでなければ、命懸けの仕事なんて務まるはずがないのだ。
途中からアルミンが説明を引き継いで語り始めたのだが、その可愛らしい声に反して内容は耳を疑うような過激なものだった。
彼が言うには、女型巨人の正体は…エレン達の同期だというのだ。しかもその兵士は憲兵団に所属して、今もストヘス区内にて任務についている。