• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第32章  裏切り者達


「足、どうされたんですか?!」

 至近距離でよく顔を見てみれば、いつもよりも顔色が悪い。兵長は普段からあまり顔色は良くない方だけど、こんなに青白くはない。

 まじまじと顔を見つめていると、兵長はプイと顔を背けてしまった。怪我を隠していたことでバツが悪いのだろうか。だが今はそんなことを言っている場合じゃない。

「とにかくこちらへ」

「いや、俺は後でいい」

「ダメですっ!」

 兵長があまりにも頑ななので、私は兵長の身体に回した腕に力を込めて、ぎゅうと抱きしめた。

「救護室に行って下さるまで絶対離しません!」

「オイオイオイオイ…」

 珍しく兵長はゴニョゴニョと口を動かしていた。
 それでもまだ歩き出してくれないので、私はさらに強く兵長を抱きしめる。すると兵長は、降参だという風に両手を上げた。

「まいった。救護室に行くから、もう離せ」

「ホントですか?逃げませんか?」

「そんなしょうもねぇ事しねぇよ」

「それなら…」

 私は兵長の身体に回した腕の力を弱めた。

「おい…離してくれるんじゃねぇのか?」

「一人で歩くのはお辛いんじゃないですか?救護室まで支えます」

「…離せと言っても離さねぇんだろ?」

「はい」

「仕方ねぇな」

 兵長は今度こそ本当に観念したような顔をしたのだった。

/ 660ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp