• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第31章  幸せ


 私と兵長は、まずペトラの実家を訪れた。
 部屋に通されるとすぐに兵長は深く頭を下げて、ペトラが戦死したことを両親に告げた。

「な…何ですって……?」

 父親が震える声で言った。この人の事は覚えている。壁外調査から戻ってきた時、ペトラが送った手紙を握り締めて兵長に声をかけているのを見かけたからだ。髪の色が、ペトラと全く同じだった。

「なんで…俺の娘が…そんなことに…。あぁ、だから兵士なんてやめておけって言ったのに…」

 テーブルには、私たちが持ってきた彼女の遺品が置いてある。壁外調査に赴く前に彼女自身がきちんと整理していたそれらは本当にわずかな量で、兵長仕込みの掃除技術で整然と片付けられた部屋の中心にちょこんと置かれていた。それは彼女に限ったことではなく、他の3人も同じだった。

 その遺品を何度も撫でながら、ペトラそっくりの女性が声も出せないほどに身体を震わせて泣いている。ペトラの母親だ。その顔立ちはペトラとそっくりで、彼女の可愛らしい容姿は母親譲りだったのだなと思ったら、こらえきれずに私の目にも涙が浮かんできた。

/ 660ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp