第31章 幸せ
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女型の巨人が拘束されるのを見て最初に抱いた感情は、ただただ驚いたという一言に尽きると思う。私達リヴァイ班で、この作戦を知っていた者はいない。知っていたのは、兵長だけ。
先頭を走る兵長が私達にエレンの保護を命じて、あっという間に飛び立って行くのを見送りながら、正直私は別の事を考えていた。
「ラウラは俺と来い」
うらやましい、と思った。
だって私達は兵長と別行動なのに、ラウラだけは連れていってもらえる。ずっと兵長と一緒に行動できる。それは絵を描くためだと分かってはいるけれど、どうしてもそう思ってしまうのは、まだ兵長の事が好きだから…。
でも、そんなことを考えている場合じゃないことは分かっている。だから私はすぐに気持ちを切り替えて、エルドを先頭にした隊列を組み直して森の奥へと走った。