第31章 幸せ
○
リヴァイと分かれたエレン達は森の奥で待機していたが、撤退の信煙弾を見て立体起動で移動を開始した。
途中、エルドによってオルオとペトラの新兵時代のエピソードが暴露されたりして、一行は楽観的な雰囲気で帰路についていた。状況を知らない5人は、当然作戦が成功したものと思っていたのだ。
ワイワイと話しながら進む皆の事を、しっかり者のグンタが注意していた時、向こうの空に信煙弾が上がるのが見えた。リヴァイからの連絡と思い、彼らは煙弾の上がった方角へと向かった。
森を少し進んだところで、立体機動で飛ぶ小柄な人影を見つけた。リヴァイは、「人類最強」などという厳めしい通り名に反して、驚くほど小柄だ。失礼ながら、女性兵士と見間違うほどに。
だがそれにしたって…小さすぎやしないか、とグンタの頭に疑問符が立った。胸がザワと波立つ。
「…誰だ?」
そう思った時にはもう、彼の首は大きく切断されていた。
立体機動の勢いのまま木に激突したグンタに驚いたエレンは、ザックリとうなじを切り裂かれ、目を見開いたまま死んでいるグンタの姿を目の当たりにして言葉を失った。