第31章 幸せ
巨人の姿をスケッチしながら、本当に様々なところが普通の巨人とは異なっていると感じた。
知能があるところはもちろん、まず見た目が全然違う。女性的である…という事以上に…この巨人からは何というかすごく、人間臭さを感じるのだ。
艶のある金髪に、スラリとした均整のとれた身体、顔立ちもまるで…人間のようだった。
何より印象的なのはその目つきだ。巨人達はうつろな目をして薄ら笑いを浮かべている事が多いのに、この巨人の目には力があった。明確な目的を持っている者が持つ光を放っているように感じた。
ふと、ピクシス司令が「超絶美人の巨人はおらんかの?」と言っていた事を思い出す。この巨人にだったら食われても良いと、司令は言うだろうか?筋肉がむき出しになっていてグロテスクではあるものの、顔立ちは整っていると言えた。
もう何度目になるのか、攻撃した刃が折れてしまったミケ分隊長が、困り果てたような顔をして私と団長のいる枝へと降り立った。
ミケ分隊長が、お手上げ状態だとでも言うかのような仕草をしてみせると、それを見てエルヴィン団長の表情はいっそう険しくなる。
団長はケイジさんを呼んで、爆薬の準備を命じた。うなじを守っている手を吹き飛ばしてしまおうという考えだ。