第31章 幸せ
足元を見下ろすと、そこには全身にくまなくワイヤーを打ち込まれ、ギシギシともがいている巨人の姿があった。関節という関節を何十本ものワイヤーで拘束されて、さすがに身動きが取れない様子だった。
先ほどまで恐ろしい程の速度で追いかけてきていた巨人の姿を、改めて見つめる。やはり体型はどう見ても女性的だ。よってエルヴィン団長によって「女型の巨人」と命名されたのだった。
団長達の考えでは、エレン同様うなじに巨人の本体がいるものと仮定しているとのことだった。よって、女型の巨人を拘束している間に、うなじから中身を引きずり出そうというのだ。
しかし、中々簡単には行きそうもなかった。
うなじを切り裂くため、兵団トップ2であるリヴァイ兵長とミケ分隊長がすさまじい連撃を与え続けたが、うなじや手を硬質化して刃が通らないのだ。
私はエルヴィン団長の横に膝をついて、その様子をスケッチしていた。女型の巨人は、うなじをかばうような体勢をとっていて、兵長やミケさんが攻撃を仕掛けるタイミングを見計らって手を硬質化させているようだった。
先ほど兵士達を殺す様子を見た時にも思ったが、この巨人には間違いなく知能がある。それもかなり頭が良い。