第31章 幸せ
永遠にも感じられたその時間だったけれど、終わりは思いがけない形で訪れた。
「撃て!!」
エルヴィン団長の大声と共に、一瞬の閃光と共に四方から発射された銛が、追ってきた女型の巨人の身体を一斉に貫いた。
辺りにこだまする轟音と、視界を遮るほどの硝煙が上がる。今駆け抜けてきた道を振り返っても、もうもうと上がる煙に隠れて何も見えない。だが、この状況はどう考えても…。
「少し進んだ所で馬を繋いだら、立体機動に移れ」
僅かにこちらを振り返ったリヴァイ兵長が言う。
「俺とは一旦別行動だ。ラウラは俺と一緒に来い」
兵長はタンッと馬の背から飛び上がると、風のような速さで飛び去っていった。
私も立体機動装置のトリガーに手をかけると、兵長の後を追って飛び立った。その時、こちらを振り返ったエレンと一瞬だけ目が合う。
「エレン、気をつけてね!」
とっさにそれだけを言うのが精一杯だった。その声がエレンの耳に届いたのかどうかは分からない。確認する間も無かった。何しろお互いに真逆の方向へと進んでいたのだから。