第5章 幼馴染
ライデンは私の絵を見るのが好きだった。
私たちは、遊ぶときはもっぱら外で飛び回っていたけれど、雨に日なんかにはどちらかの家に遊びに行って、部屋の中で遊んだ。
ライデンの家に行った時は、おじさんが作ってくれたお手製のおもちゃで遊んだし、ライデンが私の家に来た時は、兄さんと弟も一緒になって遊んだり、私の部屋で絵を描いたりして過ごした。
私は似顔絵を描くのが好きだったから、家族やライデン、ライデンのご両親の顔を何枚も何枚も描いた。
人の表情の繊細微妙なところを表現するのが面白くて、しまいにはパラパラめくると絵が動いているように見える、カラクリのような絵も描いた。
動きのパターンとしては、無表情なところから、こちらの存在に気づいたような顔になって、それから笑顔になるという流れのものだった。
この絵がライデンは特にお気に入りで、何度も何度もめくっては見ていた。
私の顔も描いてみろとか、それが欲しいとか言うものだから、何とか頑張って描いてみようとしたけれど、自分の顔はどうしても上手く描けなくて、結局自分の顔のカラクリ絵だけは完成させられなかった。
でも一体全体、何で私の顔の絵まで欲しいなんて言ったんだろう。ライデンの顔を描いたものはプレゼントしているのに。
よっぽどあの絵を気に入ってくれたのかな。