第31章 幸せ
「なっ、何?!あの巨人は…!」
出現した巨人は15m近くありそうな大型で、例えるならまるで女性のような体型をしていた。
巨人は大抵男性的な体型をしていることが多いから、こんな体型の個体を見たのは初めてだ。
それに肥満や痩せすぎのアンバランスな体型が多い中で、その巨人の身体はとても均整がとれていて、走る速度も通常の巨人とは比べ物にならないほど早かった。フォームも整っていて、まるで人間が走っているみたいだった。
「速い!!追いつかれるぞ!!」
エルドさんが声を上げる。
「兵長!!立体機動に移りましょう!!」
ペトラとオルオの声が重なって、沈黙を保っていた兵長もさすがに剣を構えた。だが、立体機動に移るのかと思った時、後方から兵士が飛び出してくるのが見えた。
「背後より増援!」
それがヘルゲとミアであることは、遠目からでもすぐに分かった。彼らは前を走る例の巨人めがけて突進していった。
ゾクリと嫌な予感がした。
彼らはうなじにアンカーを発射して、直接うなじを狙いに行った。その身のこなしはさすがに調査兵団で何年も生き残ってきた兵士らしく、戦闘慣れしたもので無駄がない。なのに…