第30章 ささやかな代償
「僕たち、ラウラさんの挿絵の入った教本で勉強していました!あの絵は本当に素晴らしかったです。すごくリアリティがあって、繊細で緻密で…」
「アルミン、落ち着いて」
今度はミカサが止める番だった。さっきと役割が逆転している。
「あっ、すみません!あまりに嬉しかったので、つい興奮してしまって」
「ううん嬉しいよ、そう言ってもらえると。私も頑張った甲斐があったな」
今まで私の絵については、本当に色々な人が評価してくれた。ハンジ分隊長、リヴァイ兵長、エルヴィン団長、ザックレー総統…。
それはこの上なく光栄なことなのだが、こうやって若い世代の子に認めてもらえるというのはまた格別に嬉しいものだ。
「じゃ、エレンには言っておくから、次の休みに遊びに来てね」
「はい!ありがとうございます」
そう言って私たちは別れたのだった。