第29章 第104期調査兵団
ジャンとコニーが歓喜に酔いしれていた時、ガタンと、ラウラの正面の席に座った者がいた。
「あ、リヴァイ兵長、おはようございます」
ぽーっとなっていた二人は、その言葉を聞くと瞬時に直立敬礼した。
リヴァイは一般市民にすら名が知れ渡っている兵士なのだ。新兵の二人が知らない訳がない。
「…あぁ」
リヴァイは手に持っていたティーカップを口に運んでいるだけで、それ以外は何も言わない。だがその視線はジャンとコニーをじっと見据え続けていた。
その威圧感たるや、入団したばかりの新兵に到底耐えられるものではなかった。
二人はそそくさと、「そ、それでは失礼しま…」とその場を立ち去ろうとしたが、
「お前ら」
とリヴァイに呼び止められ、再びビシッと敬礼した。
「「はいっ!!!」」
「……うるせぇ…。鼓膜が破れちまうだろうが」
「「す、すいません…っ」」
「さっそく有名人に挨拶とは、お前らなかなか鼻が利くな」
「「有名人??」」
何を言われているのかいまいち分からない二人は首をかしげる。
疑問符を浮かべながら冷や汗を流している二人を見て、リヴァイはフンと鼻を鳴らした。
「まぁいい」
そう言って、また紅茶を飲み始めたので、今度こそ二人はその場を退席した。
「俺達ラウラさん以外に声かけたか?…有名人って誰の事だ?」
「さぁ…?」
ジャンの問いかけに、今度こそコニーも首をかしげる。
それを見たジャンは、頭の回転がやや鈍いと評されているコニーに聞いても無駄かと思い、急いで配膳の列に並んだのだった。