第29章 第104期調査兵団
「あ、あのっ!!」
パンをちぎって食べていたラウラは、突然大声で話しかけてきたジャンにビックリして、口に運んでいたパンをポロリと取り落とした。
ジャンはやや頬を染めながら、ラウラの正面に立って敬礼する。
「じ、自分は第104期生のジャン・キルシュタインです!これからよろしくお願いします!」
声を張り上げたジャンに、一瞬あっけに取られたラウラだったが、すぐに微笑んで立ちあがった。
「昨日入団した子だね。私はラウラ・ローザモンド。まだまだ慣れない事ばかりだと思うけど、これから一緒に頑張っていこう!」
そのセリフでラウラが同期ではないことを察した二人だったが、それでも限りなく年齢は近いだろうという考えは変わらない。
思いがけず、白く小さな手が差し出されてきたため、ジャンは驚きと歓喜の入り混じった顔をしながら、そっとその手を握った。
(手小さっ!柔らかっ!それに何か良い香りがする!)
ぽーっとそんな事を考えていると、いつの間にか隣にコニーが立っていた。
「自分はっ、コニー・スプリンガーです!!よろしくお願いしますっ!!」
ラウラはコニーにも微笑むと、ジャンの時と同じように握手を交わした。