第29章 第104期調査兵団
俺は班員とエレンを連れて、巨人研究所を後にした。
向かう先は、調査兵団本部だ。今日はこの後、新兵の所属兵科確認がある。エレンの同期達の行き先が決まるのだ。
毎年、調査兵団を希望する兵士の数は少ない。最も死亡率の高い兵団だから、それも当然のことだろう。
特に今年は超大型巨人の再襲撃という過酷な経験をして、入団前に壁外調査並みの恐怖を強いられた。
それでもなお調査兵を希望する奴なんているのだろうか?もしかしたら、今年はエレン以外の入団者はいないかもしれない。
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私はしばらくの間、巨人のスケッチに熱中していたようだ。
何時間くらい描いていたのかは分からないが、とりあえず描き終わって「こっち側」に戻ってくると、先ほどまで巨人をひと目見ようと群がっていた兵士達がすっかりいなくなっていた。
絵に没頭しすぎて、周りの動きに全く気付かないというのは、私の場合割とよくある事だ。
辺りを見回すと、ハンジ班の先輩方が生態実験で使用した道具などを片付けていたので、私も慌ててそれを手伝いに行った。