• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第26章  兵長のおまじない


 だけど、ドックン、ドックンと妙に胸の鼓動が大きく聞こえて、指先が震えるのだった。

 兵長の触れた部分が燃えるように熱い。まるで身体中の熱が頭皮に集中しているみたいだ。

 胸が苦しい。何だろうこの胸の高鳴りは。


 この感情の正体を、私は知らない。
 形作られていないソレは、形を求めてグニャグニャと私の胸の中をさ迷っているのだろう。その蠕動が、この胸の動悸の原因に違いない。 

 多分ほんの少し手を加えてやれば、ソレはハッキリとした形になるだろう。何となく直感でそう思う。

 だけど、それをやったら…きっとそれはペトラへの裏切り行為だ。
「横恋慕」に近いやつだろう。…あ、「恋」って言っちゃった…。いやいや、今のは無し!ノーカンで!


 私は誰にするでもない言い訳を全力でした後、数少ない特技の一つである「集中力」を発動させて、あえて心を無にした。

 心のざわめきからプイと目を背け、また黙々と道具の手入れに戻っていったのだった。

/ 660ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp