第25章 トロスト区襲撃想定訓練
ラウラは、まるで自分のことのように考え、感じ、涙を流してくれたというのか。
でも、…そうだ。ラウラは、とても優しい子だ。こうして他人のことを、まるで自分のことのように素直に喜べる心根を持った子なんだ。そんなこと分かっていたはずなのに。
私はあの日の夜、「私の方が先に好きになったのに」って、ラウラに対して暗い感情を抱いた。あれは紛れもなく嫉妬だったんだ。
だけど…そもそも順番なんて関係ないことだ。
本当はもう…分かってたの。私じゃ勝ち目がないってことを。だけど、それを認めたくなくて、あんな事を思って、ラウラに醜い嫉妬をした。
なのにラウラは?
私がそんな汚い感情に囚われている間でも、彼女は私のことをまるで自分のことのように思って、涙を流してくれた。
分かってた。私じゃ、やっぱりダメだね。
兵長が隣にいたいのは、ラウラなんだ。そしてその理由も、もう十分わかった。
最初からずっと分かっていたの。なのに、気付かないふりをしていただけだった。
「…ぷはっ!」
顔を見合わせて涙を流していたら、「なんで私達こんなに泣いてるんだろう」って次第に冷静になってきて、何だかお腹の底から笑いがこみ上げてきてしまった。
「あはははっ!ラウラ、ありがとう。あなたみたいな友人を持てて、私は幸せだわ」
そう言ってラウラの華奢な肩を抱き寄せると、一瞬ポカンと驚いたような表情を浮かべた後、彼女も私と同じような思いが湧き上がってきたみたいで、声を上げて笑い始めた。