第25章 トロスト区襲撃想定訓練
そう思った時、ふいに頭に温かいものが触れるのを感じた。
驚いて顔をあげると、ラウラが私の頭を撫ぜていた。
「本当に頑張ったんだね、ペトラとオルオは。二人の活躍を見ていれば、どれだけ辛い訓練に耐えてきたのか良く分かるよ。…リヴァイ兵長に認めてもらえて、本当に良かったね」
「…ちょっと…、ラウラったら、泣いてるの?」
微笑んでいるラウラの目元にキラリと光る水滴を見つけて、私は、今の今まで抱えていた黒い感情なんて一瞬で吹き飛んでしまって、驚いて彼女の顔を見つめた。
「な、泣いてないよっ!」
そう言いながらも、ゴシゴシと目元をぬぐっているラウラ。私は驚きと、何だかよく分からないのとで、ただただビックリした。
「ただ…二人が特別作戦班に入れて本当に良かったなって、嬉しくなって。…エルドさんやグンタさんとの訓練だって、相当大変でしょう?…だから、何だか感極まっちゃって…」
そう言うと、ラウラはついにポロポロと涙を流し始めた。
私はさらに驚いた。
「な、泣かないでよ~!」
ラウラを泣き止ませたいはずなのに、そんなラウラの姿を見ていたら、次第と私の目元も熱くなってきてしまった。
「もう…ラウラが泣くから、何だか私までもらい泣きしてきちゃったじゃない…」
新兵の頃の事や、特別作戦班に任命されてからの辛い訓練の日々が思い起こされてきて、私の目からも次々と涙がこぼれていった。
だけど、辛い思い出ばっかりじゃない。すごくやりがいのある、充実した日々の記憶だった。