第25章 トロスト区襲撃想定訓練
「私とオルオはね家が近所で、小さい頃からよく一緒に遊んでた。オルオってあんな老け顔のくせに、あの一帯では一番運動神経が良くて、実は結構女の子にモテたんだよ」
私が「老け顔のくせに」と言ったせいか、ラウラは苦笑いをしていたが、うんうんと頷きながら話を聞いている。
そういえば、アトリエにいる時のラウラは上の空の事もあるけれど、絵から離れている時は、こうやって丁寧に話を聞いてくれるなぁ。
美しいラウラが優しく微笑みながら頷いてくれると、もっと話していたいと思ってしまう。多分、こう感じているのは自分だけではないのだろう。
だから、ラウラのアトリエには様々な人が話しにやってくるのだ。
「私たちは12歳になった時、一緒に兵団に入ることを決意した。…と言っても、大層な目標があった訳じゃなくて、生産者に回るのが嫌だっただけなんだけどね…」
そう、それは事実だ。
みんな表面上は兵士を、特に調査兵団のことは「無駄飯食らい」だとか「税金泥棒」だなんて言って嫌っているけれど、やっぱり、開拓地で生産者に回るよりも印象はいい。
12歳を過ぎて生産者に回る奴は、腰抜けと言われる。おかしなことだけれど、私たちの世界とはそういう作りになっているのだ。