第25章 トロスト区襲撃想定訓練
そうしている間にも、色々な人が声をかけてきてくれる。
ミケ分隊長、モブリット副長、ハンジ班の先輩たち、エルドさんとグンタさん、同期のヘルゲとミア、その他の仲間達。
なぜかその人達の多くは去り際に何かしらの食べ物を置いていくので、私のもとにはちょっとした食べ物の山ができたくらいだった。
「……すごいね」
食べ物の山を見つめて、ペトラが心底驚いたような顔をしてつぶやく。
「でも、なんか分かる気がするな。ラウラって、つい声をかけたくなっちゃうところがあるよね。一緒にいると安らぐっていうか…安心するからかな」
ペトラの言葉に、私は照れ臭いのと、よく意味が分からないのが入り混じって、首をかしげた。
「そう…かな?私なんかと一緒にいて安心するかな…?」
私には巧みな話術がある訳ではないし、軽妙な会話で相手を和ませることなどできない。
それどころか、どちらかと言えば口数は少ないほうだし、話の聞き役に回ることのほうが多い。
そんな私が、一緒にいる人を安心させているとは到底思えないのだが。
だけどペトラは言葉を続ける。
「うん。自然と、一緒に過ごしたいって思わせる力があるよ。なんかね、優しそうってのが一目で分かる!そうだよ!だから、アトリエにはいつも誰かしらが来てるんじゃない!」
そっかーそういうことかー、と一人で合点がいったようにペトラが呟いている。私の方は、何のことだかさっぱりだ。