第23章 成果
巨人を観察するということは、奴らの謎を解き明かす上で非常に重要なことである。
それに、「巨人の動きを見逃さない」のも戦闘においてとても有効だ。
だが、ラウラやハンジの場合は、少し困ったことになる。
なぜなら、面白そうな巨人が現れると、二人共「討伐」よりも「観察」に夢中になって突っ込んでいってしまうからだ。
危うく巨人に掴まれそうになったことなど、数えていたらキリがない。
そんな時、一番気が気でないのは、先程怒鳴っていたモブリットである。
副隊長を務める彼は、ハンジが暴走した時の牽制役を任されており、ラウラが加入してからというもの、その役割はさらに量を増した。
暴走する二人を食い止めなければならない彼は、非常に大変な役どころであると言えた。
ラウラは、絵を描いていない時こそ至って普通の、どちらかといえば控えめな少女であるが、絵のことになるとハンジ同様に周囲が全く見えなくなってしまう。
リヴァイの言葉を借りるのであれば「奇行種」だ。
そんな暴走列車みたいな二人を、たった一人で止めようとしているのだから、モブリットの苦労は並大抵のものではない。