第23章 成果
そんなに観察することに熱中してしまったら、それこそすぐに巨人に食われてしまうはずなのだが、絵画制作で培われた驚異的な観察力と日頃の戦闘訓練のおかげで、ラウラは生きのびることができている。
ハンジ班に入ってからのラウラは、絵の技術だけでなく、兵士としての能力もメキメキと上達させていた。
もともとの身体能力はそれほど高く無かったものの、それだけで兵士としての優劣の全てが決まる訳ではない。
それぞれの兵士の持ち味や、戦闘シーンに合った「戦い方」を習得できれば、身体能力の低さはある程度カバーできるものなのだ。
そういう意味で、ラウラは非常に上手く自分の能力を伸ばしていた。
手練の集まるハンジ班で、先輩達や隊長のハンジからみっちりと訓練をつけられたラウラは、まるでスポンジが水を吸うようにして、グングンと技術を習得していった。
兵士として成長したおかげで、今ではもう新兵の頃のように絵の事を考えていて訓練や壁外調査中に怪我をするようなことは少なくなってきていた。
だがそうは言っても、巨人観察に夢中になってしまう事はまだまだ多いのだった。
そして、そんな風に異常な集中力でもって巨人を観察しているのはラウラだけではなかった。
巨人研究の第一人者、ハンジも同じことだった。