第21章 依頼
私は少し空気を変えようと思って、今度はペトラの近況について聞いてみた。
「ペトラの方は最近どうなの?リヴァイ班に任命されてもうすぐ1年くらい経つけど、慣れた?」
リヴァイ班の話題を出すと、パッとペトラの顔は明るくなった。
「うん!まだまだエルドさんとグンタさんには及ばないけど、一緒に訓練をする中で、色々と教えてもらってるよ。兵長も、すごく教え方が上手なの」
「へぇー!」
天才は教えるのが下手だというのが通説なので、リヴァイ兵長が教えるのが上手いと聞いて、少し意外な気がした。
普段のあの口調から想像するに、決して優しくは言ってくれないだろうけど、面倒見がいいんだろうな。
「私、リヴァイ兵長に指名してもらったこと、本当に本当に嬉しいんだ。リヴァイ班の一員として戦えることに誇りを感じてる。兵長のためなら、私は全てを捧げて戦えるよ」
そう言ったペトラの顔には、強い信念が感じられた。美しい顔立ちのせいでそれは一層の迫力を増しているように思える。
彼女のオレンジ色の澄んだ瞳の奥に燃える炎が見えたような気がして、私はそれを美しいと思った。
ペトラはいつも、リヴァイ兵長に対する尊敬の気持ちをまっすぐに表現する。本当に尊敬しているのだということが伝わってくるし、信頼できる上司に尽くしたい気持ちにもとても共感できる。私にも、ハンジ分隊長という尊敬できる上司がいるから。
だけど…以前から感じていたことだけど、やっぱりペトラはリヴァイ兵長に対して尊敬以上の感情も抱いているのではないかと思う。つまり恋愛的な意味での好意だ。
上司として心の底から尊敬していることは間違いないだろうけど、だからこそ一人の男性としても好意を抱いたのではないだろうか。
もしそうだったとしても、何の不思議もない。だって兵長は格好いいから。
身長は高くないけれど、あの圧倒的な身体能力と強さだ。立体機動で戦っている姿はまるで閃光のようで、兵長の飛んだ後には面白いほど巨人がバタバタと倒れていく。
クールな性格なのに実は面倒見が良いというギャップがあって、おまけに顔立ちも端正である。
そんな兵長のことを好きになるのは、自然な反応だろう。ましてや、リヴァイ班に所属してその姿をいつも間近で見ているのならなおさらだ。