第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
翔ちゃんの呼んだタクシーに乗り込んだ俺達3人は、
代官山の居酒屋へ。
「流石、翔ちゃんだね!こんなお洒落な居酒屋~
俺も今度使わせて貰ってもいい?」
奥の個室に通されて直ぐ、俺は翔ちゃんに言った。
自分では気づいてなかったけど、結構燥いでたのかも…
翔ちゃんも智くんも、着替えて来たみたいで…
智くんは黒いズボンから、ごく普通のデニムに、濃紺のトレーナー姿…
…マジで…かっこいい…(翔ちゃんはどうした??)
奥に智くんを座らせ、その隣に翔ちゃん、
俺は智くんの前に腰を下ろした。
「なにか、食べられないもの、ある?」
「ないよ、何でも食べる!!」
俺の勢いがすごかったのかな~?
智くんがクスリと笑った。
あ!!笑った!智君が、俺見て、笑ってくれた~
馬鹿にしたのかもしれないけど、なんでもいいよ~
怒ってるよりは笑ってくれた方が100万倍いい!!
翔ちゃんがお店の人といろいろ話して、
今日のお勧めを注文した。
「ここの店長、豊洲から毎日自分で仕入れてくるんだ~。だから、新鮮で旨いよ」
「そうなんだ~、楽しみだな~…ね!智くん、智くんは、何度も翔ちゃんとここ、来てるの?」
「初めて連れてきてもらいました…」
「あ~、ねえ!ここではもう俺、客じゃないからさ~、その敬語止めてよ~」
「はあ…でもぉ…」
もう俺、嬉しくって、舞い上がってて…
目の前に智くんがいるっていうだけで♪
ビールで乾杯して、仲良く飲み始めて20分位すると、翔ちゃんに電話がかかって来た。
画面を確認し、『ちょっと失礼』と部屋を出た翔ちゃん…
直ぐに戻って来たけど、
「悪い、急用が出来ちゃって。後は二人でやってよ!お詫びに支払いは俺が持つから、好きに食べて飲んでね…ごめん!!」
えっ!?
「ちょっ、翔さん!!そんな、俺…」
焦る智くんに翔ちゃんは両手を合わせて部屋を出て行ってしまった。
えっ?ええっ??
えええええええええーーーーーーっ
智くんと個室でふたりっきり~!?
↑個室って…居酒屋ですけど…
突然の展開に、俺は心の中で拳を突き上げた。