第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
【MASAKI】
智くんが出ていって直ぐ、翔ちゃんが来て、カットしてくれた。
楽しいはずの翔ちゃんとの時間が、なんだか今日は気もそぞろというか……
「……は、思いきってみる?」
「えっ?」
「んふふふ、聞いてなかったの?」
「えっと〜、ごめん…ちょっとぼーっとしてたみたい。」
「後ろをね、思いきって刈り上げてみようか?って、そう言ったんだよ」
そっか…なんで、俺……
「智の毒に殺られたかな?」
「えっ、ど、どっ、毒って、そんなの…」
「そんな焦らなくっても。冗談だよ〜」
もおぉ!翔ちゃん、揶揄ってんだろ〜('ε'*)
「でもさ。あいつ、自分では分かってないみたいだけど、そういうフェロモン、出してるからね〜♪」
そういう?フェロモン…?
「相葉ちゃんが、ソッチなら、いちころでしょ?」
「ソ、ソッチ、って、そっ」
「ふふふ、また~、動揺しすぎ♪」
そりゃ、動揺するって。
ソッチ、って…俺は、ノーマルだし!!
でも…俺、智くんに…
「ところで、翔ちゃん…あの~…あのさ!
智くんってさ、恋人とか、いるのかな〜?」
「う〜ん、確かめたわけじゃないけど…いないと思うよ〜…毎晩遅くまで、カット練習してるしね…」
へえ〜…努力してるんだな〜…
「興味、あり?」
「え?」
「智に♪…相葉くんなら応援しちゃうよ(^^)」
「な、なんで?俺が?ま、まさか〜」
そうなら、言ってね〜♪
なんて、翔ちゃんは嬉しそうにカラーの準備のために席を外した。
俺が、智くんを…?
そんなこと、あるわけ……
智くんの、フェロモン……?
フェロモンって、
あの、ふんわり甘い匂いのことかな?
だって、俺、ソッチじゃない、し…
智くんはゲイだから、
俺に興味なんかあるわけ無い…
そう思った俺の胸は、チクンと疼いた。