第9章 reunion
「…ホンマはもう気ィ付いてんのとちゃうか?お前自身の内なる虚がもう手ェつけられんぐらい巨かなっとるゆうことに。オレと来い一護。正気の保ち方、教えたるわ」
そう言われ、俺は何も言い返せなかった
それから教室に戻る
今日は蝶は休みだった
熱中症…酷いのかもしんねえな…
そんなことを思いながらも、頭に浮かぶのは虚の事ばかりだった
「…また、避けられとるんか…」
横で平子が呟いた言葉も気にならない程に
啓吾に市内へ行かないかと誘われたが断った
家に帰る
今日は休み明けのテストだったから、半日で学校は終わりだった
「おーかえーり、イッチゴウッ!!」
親父に肘で殴られる
いつもなら避けてたのにな
それから俺は親父の話もまともに聞かずに部屋に向かう
「…悪りィ、晩メシまで部屋に居るわ…」
部屋に入るとコンが何か言っているがそれすら聞く気力がなかった
「…何だ?オメー、どうかしたのか?」
コンが聞いてくる
「…別に、何でも無えよ…」
「はっ!ナンだよ、帰るなり辛気くせーヤローだなっ!!いっちょまえに悩み事かよ!キモチワリー!!あーあー、つきあってらんねー!
オレ様は散歩に行ってくんぜ!悩みたきゃ一人でカッテにやってな!」
コンはそう言って窓から出て行く
「…ちっ、居候は気ィ遣うぜ」
聞こえるんだ
白哉との戦いで現れたあいつを俺が追い払ってから、それまで捨てても捨てても手元に戻ってきた仮面が突然消えた。
それからだ。
それからずっと聞こえるんだ。
俺の中であいつが、あいつが俺を呼ぶ声が。
少しずつ近付いてくる
日毎にじゃない、もっとずっと速い。
さっきより今の方が確実に近付いてる。
平子に言われるまでも無え。
わかってんだ、このままじゃ必ず、あいつに呑まれて俺は消える
俺は…どうすりゃいいんだ…!!
そう思った時だった
夏梨が部屋に入ってくる
夏梨の話を聞けば、俺の悩みを教えてくれと言う
教えられねえよ…
そして、夏梨はこう言った
「あたし…知ってるんだよ…!!一兄が…死神だってこと!!」
俺は耳を疑った
「…俺が…死神…!?」
まさか、夏梨にバレるだなんて思ってもみなかった