第10章 【番外編】マツノトクエスト 第九章
「い~や~だ~!! ゴースト系のモンスターとか出たらどうすんのさ! ぼくそういうの得意じゃないし会いたくないよぉ」
ファンタジー世界のキャラにされても怖がりは怖がりだなぁ、ほんっとに。
「そんな寄り道なんてしてないで次の街か村行こうぜぇ? 酒飲めるし! また女の子がいっぱいいる店もあるかもしれないしさ~」
昨日あんな事があった後だと言うのに懲りない勇者おそ松。
別に女の子の店に行くのは構わない、生理的に行きたくなるものなのかもしれないし男の人は。
男性の気持ちは私は女だしよくわからないけどね。
とにかく童貞さえ守ってくれればそれでOKだ。
「お酒飲んで、お姉さんのお店に行くのならお金いっぱい必要でしょ? ダンジョン行けば宝箱もいっぱいあるし、お姉ちゃん達が喜びそうな冒険譚も聞かせられるかもよ? なんならお金持ちで冒険いっぱい熟した勇者様達にサービスとかしてくれるかも~」
呆れて地面でジタバタしているおそ松、今にも逃げて行きそうなトド松に言うと、二人はピクリと肩を揺らして反応する。
「金?」
「サービス?」
ふん、単純なヤツらめ。
ちょっとお金と女をチラつかせただけで目を光らせ始めた。
こうも簡単に表情も変わるんだからチョロイチョロイ。
してやったりと思う私の前で、二人は急に凛とした顔に変わりその場に居直る。
おそ松も拳を握り立ち上がった。
「勇者がダンジョン攻略しないなんておかしいよなぁ! やーっぱ冒険と言えばダンジョンでしょ!! 面白そうだしっ」
「嫌々言ってた癖によく言う……」
「そうだよね、ここは怖いけど勇気出していかなきゃぼくらも成長出来ないし!」
なんという変わり様、トッティまで踊り子衣装のままではあるが、その表情は一人前の男と言う顔になっている。
怖い事には変わりないらしいけども、覚悟は決めたようで口車に乗ってくれるおバカな二人を乾いた笑いで見てしまった。