第10章 【番外編】マツノトクエスト 第九章
「行こう、今すぐ行こう! そうだ、ダンジョンに行こう」
「なんなのその旅のフレーズみたいな言い方~」
前を歩く二人は会話をしていてトド松と私の会話は聞こえていない。
おそ松のマントを思い切り引っ張りその動作でおそ松が尻もちをついてしまう。
「うぉっ! ~っびっくりしたぁ! なんだよ、急に」
「ん? どうしたんだナス子」
既に私の顔と目はキラッキラと輝いているんじゃないだろうか。
ダンジョンと言う甘美な響きにやられ、溢れてくるニヤけが止まらない。
「あのね! ダンジョン行こうよ、ダンジョン!! 行きたいっ」
「ダンジョン~? やだよぉ、あそこモンスターいっぱい出るし罠だってあるんだろ? メンド臭い!!」
やはりおそ松は嫌だとダダをこねて尻もちをついたまま足をバタつかせた。
「なるほど、ダンジョンか……新しい冒険の香りがするぜぇ……あえて危険に飛び込む……俺……っ」
その逆でカラ松は乗り気な返事だ。
トド松は……
「それじゃ、ぼくは次の街で皆を待ってるから」
「待て待て待て」
逃げようとしている、さすがはトッティ。
自分だけ危険は避けようとする所は全く変わってない。
「え~、ぼくだって勇者と同じで怖いも~ん! ダンジョンって薄暗いし虫みたいなモンスターでるし」
「俺は別に怖いから嫌なんじゃないけどね!」
「ほらほら、勇者も怖くないって言ってるし守ってくれるよトド松! 行こうよ~」
今にも逃げ出しそうなトド松の服を掴む、意地でも離さない。