第10章 【番外編】マツノトクエスト 第九章
宿で会計を済ませ、やっと街を出る事にした私達。
やはり次なる目的地などは決まっているハズもなく、街の入り口に到達して前に繋がる分かれ道を見た。
「どっちに進むのこれ?」
「さぁ?」
「フーン、俺の勘ではライト……だな」
「えー、ぼくはこっちの道がいいなぁ」
街の入り口で早くも意見の割れるパーティ。
カラ松は右、トド松は左を指さす。
「おそ松が決めてよ、どっちにする?」
「えぇ~? んー…………あっ!」
腕組みをして目を瞑り、少しだけ考える様子を見せるおそ松だったが、すぐにその思考は解決されたようでパッと悩み顔から笑顔に戻る。
「コイツを使おう!!」
「は?」
「「おお、なるほどっ」」
今まで抜かれた事のなかった背中に刺した剣を鞘から引き抜き、地面に刺さらないくらい、ただ乗っかるように縦に乗せる。
━━━━━━━━━━カラ~ン……
「よしっ、あっちだ」
【 勇者おそ松のパーティは モリヌケの街 を後にした】
「えぇ?! その剣ってその為に使う物だったのー?! あと、カラ松もトド松も何を納得してんのっ、特にトド松! 突っ込みはどうしたっ」
倒れた剣が右を指し、それをおそ松が拾って歩き出す。
共に後ろについていきながらやっと仲間になった突っ込み担当のハズのトド松の横を歩いた。
「伝説の勇者がやるんだから別におかしくないんじゃない? あの剣だって伝説の一種でしょ? それならアレで目的地に導かれても特別変に思わないけどなぁ~」
そうか、トド松はこの世界のキャラクターになっている。
だから勇者が起こす行動に納得してしまっているのかもしれない。
そうすると折角仲間になって喜んだ突っ込み担当は結局突っ込みとしての意味をなさないのではないかとすこーーーーしだけガッカリしてしまうが、やっと会えた末っ子だ。
嬉しくない訳でもないので、記憶が戻るまでは我慢するしかないだろう。
「そういえばさ、この先にダンジョンがあるの知ってる?」
「ダン……ジョン、だと?」
トド松が口を開き、私はその甘美なる響きにゴクリと固唾を飲んだ。
だって、ダンジョンって言われたら行きたくなるじゃん。
RPGって言ったらかかせないもの、それはダンジョン。
レアアイテムだってダンジョン巡って取りにいくもんね!