第10章 【番外編】マツノトクエスト 第九章
ゲームの中に入って時間の経過などがわからない。
どのくらいこの世界にいたんだっけ、まだ来たばっかなような気もするし、何日か経ったような気もするし、カレンダーがないと言うのも心元ないな。
けど、いつもの6人が懐かしく恋しいと思うくらいには時間が経過しているのだろうか。
「お待たせ! そういえばトド松、その恰好で行くの?」
「うん、この恰好で行くよ? だってこの方が敵を出し抜けて楽そうじゃない?」
踊り子衣装のままのトド松はクルリと回転して服を揺らした。
確かにトド松の女装は自分よりも可愛いし似合っている。
相手が迷って油断しそうなのも確かだ。
「まぁ、コイツよりかは……誘惑技かけられるかもなぁ? 俺もトド松の姿見て最初女かと思ったし」
コイツと言われて呆れた視線が降って来る。
言われなくてもちゃんとわかってるっつの!!
「何見てんですか、コラ。わかってるよ! わかってますよ、女子力なんてありませんからね、私は!!」
「あー……えーと、何を拗ねているんだナス子」
拗ねてなんていない、事実を言われてるし自覚してるし……。
けど本物の女なのにも関わらず、男のトド松に負けてると思うと若干悔しいような……? あ、やっぱこれ拗ねてるって事になるのか?
もういっその事、伝説の純潔乙女はトド松でいいじゃないか。
「べ、べ、別に!! さ、行こう! 今こそ旅立ちの時じゃっ!」
「うわぁ、そのセリフ最早懐かしいなぁ~オイ!」
「なに、誰のセリフなのーっ?!」
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