第10章 【番外編】マツノトクエスト 第九章
「おいっ、いい加減起きないとキスすんぞ!」
「ハッ!」
━━━━━━━━━━スパアァアアアアアアン!!
【 ナス子の攻撃 ナス子は おそ松 の顔面にハリセンを叩きつけた 】
いつの間にやら、私はハリセンを抱いて眠っていたらしい。
上体を起こし布団で寝ていたと思っていた所から起き上がるとそこはベット。
隣には夢だと思っていた踊り子衣装のトド松。
ベットに腰掛ける武闘家衣装のカラ松。
床に転がって顔面を押える勇者姿のおそ松の姿。
「今の現実は、こっちか……」
きっと私の願望が夢に出てきたのだろう。
いつもの六つ子との他愛ないやり取りの夢を思い出し、起きたての私は思わずシュンとしてしまう。
「痛ってぇなお前!! 起きないお前を3人で起こしてやってんのに急に攻撃とか酷くなぁい?!」
「キスとか意味わかんない事言ったのはそっちでしょー?!」
「ホントにする訳ないだろっ、何度も言ってるけどお前みたいな色気も何も足りてない女に手を出す程俺は飢えてないかんね!!」
「はぁ、この二人って仲悪いの? カラ松……」
「あー……そうだな。良いのか悪いのか俺にもよくわからん」
トド松とカラ松の目が呆れて私とおそ松に向く、仲が悪いかと聞かれると私も実際どうなのかわからない。
だってまだおそ松は私の名前すら呼ばないし、態度だってこんなだし……態度はいつもとあんまり変わらないけどさ。
「ごめんごめん! ちょっといい夢と言うか、懐かしい夢を見てたと言いますか……感傷に浸る感じのモノを見たって言うか」
「それ、いい夢なのか悲しい夢なのかわかんないんだけど」
早速トド松の冴えた突っ込みが入った。
パーティに突っ込みがいるっていいなぁ、楽だわぁ。
突っ込まれたのがたとえ自分だとしても嬉しいと思ってしまう。
「まぁ、どっちもなのかな?! 起きるの遅れてごめんなさいっ、急いで顔洗ってくるから待ってて」
ベットから起き上がると、夢の内容を追求されたくない私は早足で顔を洗いに行った。