第35章 第三十四章
猫がくれたのかぁ、さすが一松なだけあるー。
受け取った袋を開けて見るとキラキラと輝く玉が4つ入っていた。
色は、赤、青、緑、ピンク……。
「ちょっ、これって!!!」
「俺もそれと同じ紫の玉を持ってるけど。これってアイツらのでしょ」
「そう!癒しの泉で猫に持ってかれちゃったやつだよ!よく見つけてくれたあああああぁ、良かったああああぁ」
コレの大事さをつい前に思い知らされたばかりだから頬ずりしたくなるけど、待て、待つんだ自分。
頬ずりしそうになった所でピタリと動きを止める。
だってコレってアイツらの股間に入ってたものだもんね。
危ない危ない……ていうか汚い汚い。良かった、すんでの所で思い出せて。
「そうだ、一松。他の皆はどこにいるか知らない?この館の中にいるハズなんだけど」
「さぁ、俺は猫目当てでここに立ち寄っただけだし……ただこの館は下っ端魔王軍のアジトだからもしかしたら襲われてる可能性はあるかも」
ここって魔王軍のアジトだったの!?
言われてみればさっき私だって魔王の配下のスライムに襲われたばっかだもんね。
他の皆も一松が言うように襲われてる可能性は高そうではあるな。
「どうします?探す?」
「どうするも何も探すに決まってるでしょう、一松も一緒に来て!」
一松の腕を引っ張ってついて来てくれるようにとお願いする。
って言ってもね、一松だって童貞軍団である勇者達の仲間なのだ。
連れて行かないわけにはいかない。
けどその前に確認しなくては……
「一松、一松はもう敵……じゃないよね?」
もし一松がまだこちら側についてくれないと言うのなら戦わなくてはならないし
皆の元に連れて行くべきでもない。
出来るならあっさり仲間になってほしいなぁ、一松が出てくるまで相当時間かかったよ?
「なにその複雑そうな顔、変な顔が余計に変になるよ」
心配した顔をしただけでこの言い様、一松とのこのやりとりも懐かしいなぁなんて思ってしまう。
馬鹿にされてるんですがね、今はいつもみたいに怒る気がおきない。