第32章 第三十一話
「なぁ、兄ちゃん!もう一回、もう一回だけ勝負しねぇか?!」
私達がその場を後にしようとすると、さっきトド松と賭け事をしていたおじさんがトド松の服を引っ張る。
「えぇ?!だってもうおじさんお金ないんでしょ?これ以上やってもぼくに得ないし……」
「か、金はないがとびきりの情報があるんだ!噂を聞くに兄ちゃん達は勇者様御一行なんだろ?この先を進むのに必要な情報だと思うんだが……」
この先を進む情報?
もしかしてストーリーに関係する事なのかもしれない。
おじさんの話を聞くと、私達は互いに目を合わせて頷く。
でもこれトド松が勝たないともらえない情報なんだけど……。
「どうする、おそ松?」
「いいんじゃな~い?楽しければ」
一応このPTのリーダーはおそ松だし、確認しておかないとと思って聞いたらあっさりと二つ返事。
「じゃあもう一回だけだからね?!ガセ情報とか掴ませたらただじゃおかないよ、チョロ松兄さんが」
「うぉい、なんで僕?!」
おじさんの泣きの最後の一勝負、負けに終わる━━━━━━
いやぁ、白熱した戦いを実況してあげたかったんだけど……おじさん弱い弱い。
あまりに早い勝負で、この人ストーリーを進める為に存在している人なのかとも思うくらい。
「くっそー、負けた負けたぁ!今日は運が悪いなぁ」
「で、おじさん。情報ってなに?」
勝負に負けて哀愁漂うおじさんに飲み物をせめてと奢ってあげて、全員で同じテーブルにかけると、おじさんは飲み物を一口飲んだ後小声で話始めた。
「この話は、あまりにも不吉とされてて口にする奴も少ないんだが」
「「あ、じゃあ結構です」」