第30章 【番外編】マツノトクエスト 第二十九話
そんな紆余曲折を得て、一方的な討伐を終え、無事クエストが終了になる。
いやぁとんでもなく、もんの凄くとんでもなく白熱した闘いだった。
嘘です本当に簡単でした。
「ふぃー、ま! とりあえずお疲れ~ぃ!!」
おそ松の言葉を始めに皆が皆ハイタッチだ。
「「「「ウェーイ!!!」」」」
討伐完了の文字が頭上に浮かび、ちゃんと条件を達成した事を確認すれば、結構な討伐金額を手に入れられると心が躍る。
「こんなに戦闘シーンのない戦いって初めてだよね! はぁ、簡単だけど人数が人数だけに疲れた~。頭領とかHP多かったし何度皆でボコった事か」
「お疲れっ、今回は最後はすっごく簡単だったけどここまで来るのに相当時間かかっちゃったねぇ~ぼくも疲れたよ……早く宿に戻って休みたい~」
「その前に、だ。勝利の美酒なんかいかがかなぁ~? ん~?」
疲れ切った私達を横にカラ松が得意減の顔で片目を瞑っている。
でもここのお酒って全部睡眠薬入りだし飲んだら私達全員眠ってしまう。
「と、思うだろ? ノンノンナス子、こんなに大量の酒があって俺達が全てに睡眠薬を盛ったと思うか?」
「え、私何も言ってないんですけど?」
「チッチッチ、言わずともその顔でわかるさぁ。何年幼馴染をやっていると思っているんだ」
ドヤ顔のイタ松はいつ読心術でも覚えたの?
やっぱ私の顔がわかりやすいだけなのか?
「ふふっ、実は一つの樽だけ入れてなかったんだよねぇ! 上手くいったらぼくらも頂こうと思ってさ♪」
うわぁ、コイツら抜け目なぁい。
そこまでして酒を飲みたいか!飲むなら宿に帰ってからでもいいのにさ。
「お前らマジ最高な事してくれんじゃ~ん! お兄ちゃんちょっと見直したよっ」
まぁ、今日は皆んな頑張ったし大目に見てあげますか。
「やれやれ、お好きにしてくださいな」
適当な席に座り、早速飲み会を始める皆を見ながら私は残りの借金を計算する。
今回のクエストでたんまり設けられたって言っても道のりはまだまだ遠い。
「十四松、一松……早く会いたなぁ」
十四松の行方はわかっているとして、一松の消息はわからないまま。
ま、まさか先にゲームオーバーしてる……なんて事、ないよね。
その日は飲んだくれたパーティーを他所に私は疲れのせいで先に机に寄りかかり眠りについてしまった。
