第29章 【番外編】マツノトクエスト 第二十八話
?!
何が起きたかわからないけど、扉が開いた瞬間大きな盗賊の声が聞こえてチョロ松の悲鳴も響く。
その後、ドサリと誰かが尻もちをついた音がして、私達は我慢出来ず机をひっくり返して応戦しようと立ち上がった。
「チョロ松……、助太刀致す!!」
「大丈夫か、ちょろまぁつ!」
「チョロ松兄さん、生きてる?!」
見れば、尻もちをついたチョロ松と盗賊がポカンと見つめ合っている姿が目に入った。
「「…………………」」
「あ、え……おそ松?!」
そう、盗賊と思った人物はおそ松で、私も皆も目が丸くなった。
同じくおそ松も同じで目を見開いたまま、剣を振り上げて固まっている。
「びっっっっっくりしたなぁ、もう!! 本気で死ぬかと思った」
「チョロ松? お前ら?! ……っ、ナス子も……お前らどうしてここに?! ていうかナス子っ、無事で良かったあぁあぁ」
「ぐぇっ、ちょ、おおおおおそ松!! 苦しい苦しい!」
カランと剣が落ちる音がして、すぐに駆け寄るおそ松がめいっぱい抱きしめてくるもんだからまた苦しい。
なんなの今日はハグの日かなんかなの?ってくらい抱きしめられてるよね。
場面が場面だけに仕方ないけど……それにおそ松が僅かに震えてて思っていた以上に心配させていたんだなと理解する。
「おそ松、大丈夫、大丈夫だからっ。チョロ松が私を助けてくれてモンスターも眠らせたよ、鍵もゲット出来たし!!」
おそ松を落ち着かせる為説明するが中々剥がれない。
マジで顔がさっきみたいに胸に埋められて呼吸が苦しくてジタバタと暴れる私。
うーん、これはもう少し日頃からコイツらにも優しくしてやるべきかなと少しだけ反省した。