第27章 【番外編】マツノトクエスト 第二十六話
「んじゃ、新入り。早速宴の前の歓迎の儀式と行こうか」
「へ?………わっ」
肩を組んでここまで連れて来られたが、私は肉を貪るケロべロスの前へと頭領に突き飛ばされ床に転がる。
「ここから生きて先の会場に来れたら、晴れてお前も俺らの仲間だ」
「え、え?! と、頭領?!」
さっきまで機嫌の良さそうだった頭領だが、やはりリーダー。
そして盗賊、一気に視線が人殺しのような顔にニヤりと変わり、他のメンバー達も私に同じような顔で視線だけ向けている。
「これくらい、乗り越えてもらわにゃ……俺らの仲間にはなれねぇよ? あ、でも殺すなよ? ちょいとノしてくれるだけでいいんだ。 おい、お前ら行くぞ!!」
「………頭領! 俺ぇ、ちょっとトイレ行きたいんで一旦戻りますっ」
おそ松が私の身を案じ咄嗟に嘘をつく。
犬は好きだが今目の前にいるのは頭領以外には懐かないと言う大型モンスター。
そんなモンスターを一人で倒せるハズがなく、おそ松は一緒に戦ってくれようとしているのだと思う。
だが、予期せぬ事態が起きる。
「ダメだ……お前さん、新入りに手を貸そうって思ってんだろ? 俺らの家族にそんな誰かの力を借りるような弱っちぃ仲間はいらねぇんだよ……あぁ?」
「お前ブライアンの子守りか? 今は頭領がこう言ってんだ。便所くらい宴会場ですりゃいいだろうが」
「え、おい!! 放せって……」
やばい、おそ松が盗賊の群れに連れていかれてしまう。
いや、もう連れていかれている。
けど私もおそ松もここでまた何かしでかす事は出来ない。
既にさっき一人の盗賊を倒してしまっているし、さすがにここで頭領プラス10人の盗賊プラスケロべロスとの戦いは不利だ。
「おそ松先輩!! おおお、俺、大丈夫ッスから!」
「おま……馬鹿言うな! お前に何かあったら」
「後から必ず追いかけるんで、先に会場に行っててください」
「それ、死亡フラグだから━━━━━━っ!!」
みるみるとおそ松の声がエコーのように遠のき、そのまま連れていかれ、最後の死亡フラグなる台詞を吐いてしまった私。