第27章 【番外編】マツノトクエスト 第二十六話
「そうだ新入り、お前も宴に参加して早速その腕前でも見せてもらおうか。なんたって今日はな……魔王の配下をヤっちまおうって魂胆だからな、厳密に言うと人質に使う予定だが、それも役に立つのかはわからん。ま、使えなきゃ殺しゃいい」
……さっき、最初の部屋で下っ端盗賊が勝手に言ってたけど、頭領も同じ事を考えているらしい。
と、いう事は魔王軍とは手を結ぶ気はないという事だ。
これはさっきの密偵さんにも教えてあげなければ。
「さっすが頭領!! 俺らが魔王軍や王国に仕えるなんてないと思ってやしたよ、俺達は自由を愛する盗賊っすからね!」
一人の盗賊が頭領も持ち上げて、その持ち上げられた頭領も嬉しそうだ。
「ふはは、そうだろそうだろ! 俺達がそんな勢力に屈しるとでも思うかぁ? なぁ、よぉ……ブライアン」
この人、多分他の盗賊の名前覚えてないな。
私が名前を名乗ったから適当に私に話題振ってる感じだし。
家族と言ってもそんなものか。
「そっスね!! さすがは頭領っス、盗賊の中の盗賊王!!」
「だーっはっはっは、口が上手ぇのも嫌いじゃねぇぜぇ! 今日の宴も楽しんでこうな……と、そろそろ時間か」
言った頭領が立ち上がり、他の10人の盗賊もその後ろに並ぶ。
その最後尾に私も並ぼうとしたのだが、頭領に肩を組まれてしまいおそ松と離されてしまった。
お前ブライアンしかわかんないからって私を一番前に持ってくるなああぁ!!
おそ松は困った顔はしているが、ここはこの場に従うしかなく、仕方なく一番後ろへと並ぶ。
はぁ、酒臭い。
「お前ぇ、男にしては柔らけぇな? ホントに大人なのかぁ」
「ああ、俺ちょっと肉付きがいいんでよく間違われるんスよ、ハハハ」
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絶好の機会と言えようか、地図を見てその場を探す手間もなく地下への通路へと移動させられていく。
すると、早速目の前に私達の何十倍もある大きな3体の頭を持つ犬がそこで尻尾を振っていた。
あのドクロマークの場所で間違いないだろう。
「おう、ケロちゃん! 今日も可愛いでちゅねぇ、ほれ。肉持ってきてやったから食え食え!!」
「ワン!!」
ワンって言った!!
ケロべロスってワンって鳴くの?!
いや、突っ込みどころはそこじゃないんだけどさぁ……。