第26章 【番外編】マツノトクエスト 第二十五話
「頭領、お疲れ様です!!」
「お疲れ様です頭領!!」
声の通り、どうやら部屋に頭領が帰って来たようだ。
宴の準備も終わり一度コチラに戻ってきたのだろう。
私達も中の様子を伺いたいと思うのだが頭領の部屋に盗賊として侵入すると言うのはかなり勇気がいる事。
しかし行かねばならない。
まず顔を確認して、出来ればそのまま一緒に宴の場所まで行けちゃえば簡単だ。
そうすれば大型モンスターとも戦闘にならなくても済む。
「お、おそ松……」
「ああ、行くぞ。ナス子……おいおい、んな顔すんなってぇ! お前は今男、わかった? あ、でも普段通りでもあんまり女と男の区別つかな」
「うっさい!! ブチ殺すぞゴルァ」
━━━━━ゲシっ
蹴ってやったぜぇ。
「なはははは、その調子その調子!! んで、アンタはどうすんの?」
私とおそ松は鍵を開けて扉のノブに手をかけ、二人で残る一人を振り返る。
すると密偵は首を振って自分は行かないと意思表示をする。
「私は今は担当ではないので変に頭領の部屋に行っても不思議に思われるだけでしょう。 後に合流致しましょう」
「━━━━━━━━━━あ、そうだ」
まだ頑張っているカラ松とトド松の事を思って密偵を見たまま、私はさっきのおそ松の言葉を信じて、彼の事も信じる事にして二人の事を告げておく。
「仲間がいるんです、後二人。今は厨房で宴の食卓の準備をしてるハズ。さっき食糧庫で会った二人です、もし何かあったら助けていただけますか? 出来れば貴方の事も話したいんですが……」
そう、二人にもこの人の事を話しておかなくちゃ、間違ってこの人倒されちゃったら国を敵にする可能性も出てくる訳だし。