第26章 【番外編】マツノトクエスト 第二十五話
「で、その宴は地下の隠し通路の抜け道から入る所にあるんですね?」
私がさっき拾った地図を取り出し密偵の人に見せると、その地図を一緒に覗き込んでその場所を指さし教えてくれた。
「はい、宴はこの道の先にあるここの一番大きな部屋で行われる予定です。しかしそこに行くにはここの髑髏マークの場所が問題でして……」
あぁ、やっぱり。
このマーク、嫌な予感しかしなかったもんね。
一体何がいると言うんだろうか。
「ここは門番たる大型モンスターが存在します、頭領の飼っているケルベロスでそれはもう可愛がっていて頭領のいう事には忠実にしたがっております……が、我らと言うか、他の盗賊には全く懐きはしないのでこの場所を通るには少し苦労するやもしれませんね」
ん?でもさっきこの人達は宝物庫に行ったり準備をしたりしていたと言っていた。
そう考えるとこの人はこれも演技で実は私達を騙している盗賊なのかと思ってしまい疑いの目を向ける。
そんな私の視線に気づいた彼は慌ててポケットから腕章を取り出し、ホエホエ王国の証だと見せてくれた。
こんな腕章も、ホエホエ王国も知らないから素直に信じていいのか難しいけど。
少し困った表情でおそ松の顔を伺うと、おそ松は私を安心させてくれるかのように頭に手をおいた。
「大丈夫だってぇ、なんたって勇者たる俺が付いてるんだぜ? もし何かあっても助けてやるし、多分だけどこの人の言ってる事も嘘じゃないんじゃね? じゃなきゃ武器とか捨てないでしょ」
「うーん……」
もし他にも武器持ってたらどうすんのさ。
でも、頭に置かれた大きな手に不本意ながら安心してしまう。
おそ松は決して強いとは言えないけど、六つ子の中では喧嘩は強い。
なんだかんだで機転も利くしこっちが緊張しててもすぐにそれを和らげてくれる能力を持つ。
「ご安心下さい、勇者様御一行に手出しなど滅相もございません!! 私はただ、国の為に人肌脱ぎたいだけなのです」
真剣な目、真剣な態度で両手を握られて軽く困惑する。
この人、本当は真面目な性格なんだなと思うと、もうさっきのパンの人の印象は一気に薄れていくというもの。