第24章 【番外編】マツノトクエスト 第二十三章
「壁にふっとばされはしたが、その奥に隙間があって隠れアイテムを見つけたらしいな、フフン! 俺はなんたるラッキーボーイなんだ、褒め称えてくれてもいいんだぜぇ?」
「えーっと、頭領の部屋は一番奥かぁ。それなら入り口側の部屋から順番に倒して行った方が騒ぎにならなそうだよね」
「そうだね、部屋は全部で12個。それでこの一番広い12個目が頭領の部屋だから後はこの右と左の道に分かれてそれぞれ何人かの盗賊の部屋があるって所かな」
「ん~?」
「んじゃ、全員で一気に攻めて騒がれるよりも素早く部屋に入って倒した方が早いんじゃね」
そうだなぁ、通路を歩いてても盗賊はすぐ部屋の中に入って行く。
広いって言っても作りは単純、入り口に入って少し進むと食糧庫とキッチンの部屋。
それをすぎると別れ道があり、地図を確認しても左右で5つづつの部屋、一番その奥に少し大きめの部屋が書いてある。
「宝物庫はないのかな?」
「……お前、俺に色々言ってくる癖にガメついな」
「そっ、そういう意味じゃなくって」
「でも見つかったら少しくらい貰ってもいいよねぇ♪」
「なるほど、全部奪うのではなくバレない程度に奪うという事か」
地図を見るに、宝物庫らしき場所は見当たらない。
もしかしたら隠し通路とかあってどこかにある可能性もある。
「こら、お前ら。もし見つかったとしても、これはちゃんと返す物なんだからね」
実はこのクエストを頼まれた理由って、昨日私とおそ松が頑張って盗賊一味を倒し続けていたら、村の人達がそれを聞きつけたようで、宿に尋ねて来たんだよね。
最近ソイツらが住み着いたお陰で村の大事な物は盗まれるわ、暴力は振るわれるわで大変なんだって。
だから頭領、盗賊全てを倒してきて欲しいと言う内容のものだった。
さすがに、さすがにね??
勇者のパーティと言えば困っている人は放っておけない。
恥ずかしい話、報酬にも目が眩んだってのも嘘でもないけど、なんだかんだで村にはお世話になっている訳だし特に宿のマスターとスキル屋のお爺さんとか。
これも何かの縁だきっと。