第23章 【番外編】マツノトクエスト 第二十二章
ふーっ、だけど、入り口の下っ端盗賊4人ごときにこんな困惑してたんじゃ、私ゃ皆の足を引っ張っちゃうなぁ。
気合を入れなおさないと。
守られてるだけのヒロインとか戦えないくせに口だけは達者なヒロインって柄じゃないしっ!!
そうはなりたくない!!
ヒロインじゃねーけど!! あれ? でも設定的には伝説の乙女だしヒロインなのか?
そもそも伝説の乙女って立ち位置コイツらの記憶を取り戻すってことにしか使ってなくない?
もういらなくない?
あ、でもまだチョロ松、一松、じゅう……しまつは記憶あるみたいだったからいいのか。
「ナス子? さっきから何を一人でぶつぶつ言っているんだ?」
「え? あっ、いや、あははははっ、なんでも!」
いつの間にか倒した盗賊の服を剥ぎ取り終わっていて、カラ松に薄汚れた服を差し出され、受け取ったはいいものの着るのは大変ためらわれる。
「……うっ……なんか臭いし、汚いし……着たくねえええ」
「激しく同感だけどねぇ……でも、正面突破することを考えたら我慢しないと」
同じく心底嫌そうな顔をしているトド松だけど、仕方なさそうにちゃんと着替えている。
き、着たくねええええっ!
「ううう……おそ松、壷……」
「またかよっ?! お前あんまり吐くと身体によくねーぞっ」
そう言いつつも壷を私に差し出すと、仕方なさそうに溜め息をつく。
吐く……と思ったけど、そろそろ吐くものが胃液ぐらいしかなくなってるかもしれない。
「スキル、瞬間クリーニングとか覚えておけばよかった……」
「そんなスキルあったか?」
キョトンとしたカラ松がそんなことを聞いてくるが、今はもうそれどころじゃない。
しかし、着ないと先に進まない。進まないとチョロ松も取り戻せないし、借金も返せない……。
「ぐああ……着たはいいものの、オッサンの裏側の臭いするっ」
「いやおそ松兄さんオッサンの裏側の臭い嗅いだことあんの? ……気持ちはわかるけどぉ……くさっ」
三人は臭い臭いと言いつつもちゃんと着替えを完了している。
あとは私だけだ。