第23章 【番外編】マツノトクエスト 第二十二章
けど、首に回った盗賊の腕はすぐにその力を失って、ドサリと重いものが地面に落ちる音がして振り向くと、今私を羽交い絞めにしていた男が白目を向いて倒れていた。
そしてその傍らに、倒れた男を冷たい目で見下ろす、
「ト、トド松……あ、ありがと……」
【 トド松 は 盗賊 を 倒した! 】
パッと表情を元に戻して、トド松が私に駆け寄ってくる。
「ナス子姉、怪我はない? ったく、おそ松兄さん、ちゃんと倒したか確認してから次の敵にいってよねっ」
「あっはは、わりぃわりぃ……大丈夫か? ナス子」
「大丈夫っ、トド松が助けてくれたから」
「い、一応ねっ、約束したし……ぼくが守るって」
「カッコよかったぞ、トド松!」
「ちょっとぉ! それカラ松兄さんじゃなくてナス子姉に言ってほしかったんだけど!」
ぷくりとむくれるトド松は、今の服装もあいまってやっぱり可愛い女の子にしか見えないんだけど、カッコよかったぞ! トッティ!
キラキラした瞳でそう訴えてみるが、トド松はこちらを見ていない。
今度はおそ松の方を向いて手招きする。
「おそ松」
「あ? なに、怖かったから抱きしめて欲しいって? しょうがねぇなぁ」
ツボを持ったまま近寄って来るおそ松の手からすぐさまツボを奪い、私はその穴に顔を突っ込む。
「うぉォエエエェエ………」
「ちょぉおおおお、おい! お前なに人の武器にしてくれちゃってんのぉ」
やぁ、ずっと我慢してたからスッキリスッキリ。
キラキラ修正よろしく、私の憎しみと殺意をツボの中にぶちまけた。 ていうかさ、私、今まで何回吐いてんだ。
さすがにこのツボはいらないとおそ松に言われたので盗賊の隣に置いておく。