第21章 【番外編】マツノトクエスト 第二十章
「なんだろうね、待ってたって事はここは何かゲームを進める為に寄らなきゃいけない大事な場所だったって事かな? ストーリー的に進んでる感じするもんね」
「うんうん、じゃなかったらあんな台詞出てこないと思うし。もしかしたらぼくらはゲームの世界を自由に旅しながらも何かに導かれてるのかも?」
「ほほぅ、なんたる甘美な響きだトッティ。運命に導かれる……オレェ、中々いいじゃぁないか」
「あ、ごめんお茶零しちゃった」
「あぢいぃぃぃっぃぃいぃいl!!」
トド松の湯のみが不自然にカラ松の膝の上で逆さまになり中のお茶全てを膝にかけられるカラ松。
あれはわざとだけど、別にいつのも事なので当然スルーだ。
「お待たせしました、勇者様方。さぁ、コチラのスキルの書を……どうぞお持ちください」
「「「「え?」」」」
「ここに、魔王討伐に向かう勇者様方が来られた時はこのスキルの書を渡すようにと、先祖代々より受け継がれてきておりました。まさか私の代でそれが叶う事になろうとは、何とも感慨深い限りにございます……うぅっ」
「あっ、な、泣かないでお爺さんっ」
感極まった店主は急に眉毛の下からポロリと涙を零し持ってきてくれたスキルの書を7つ渡してくれる。
「ぐす……しかし、今は4人のようですが、他の3人の伝説の童貞様方はどちらに?」
あぁ、そうだ。
まだ私達は全員揃っていないけど、この店に受け継がれたスキルがあるのなら全員分あるって事で、だから7つの羊皮紙の巻物を渡されたのか。
とりあえず受け取るだけ受け取って、後で他の皆に会えた時に教えよう。
変わりにこっちも習っておくくらいなら出来るかもしれないし。
「あ~、それがさぁ。二人は見つかったんだけどどっか行っちゃって探し中なんだよねぇ、あともう一人は全く居場所はわかんないまま~……猫かよアイツはっ」
二人と言うのはチョロ松、十四松の事だろう。
探してるって言うけどまだ探してないので探す予定、か。
そして最後のそれは一松の事だな、とすぐに理解する。