第21章 【番外編】マツノトクエスト 第二十章
「ま、まぁまぁ二人共。これじゃ先に進めないでしょ、で、スキル習うってもしかして、ぼくが昨日言ってたお店に行くって事?」
自分では最早収拾をつける事も出来ずどうしようかと思ったが、トド松が上手く止めて逆に言いたい事も言ってくれてホっとした。
「そうそう、そのスキル屋さん。私、ハリセンしか持ってないでしょ? しかも覚えたスキルもランダムで、元からあるのはMPを削りすぎるイケメンの召喚」
「ランダムは自業自得だけどね。まぁ言われてみればナス子姉だけじゃなく、ぼくらももっとスキルを覚えてクエストを楽に熟せた方がいいとは思うし……お金はかかるけどその方が効率的かな」
「己を高めるという事か、フフン! いいだろう、俺もその意見に賛成だ」
「いいねぇ、楽しそうじゃーん! 俺もさんせーい!!」
どうやら3人共こちらの説得などもいらず納得してくれたようで安心した。
これが記憶のなかった頃のおそ松なら絶対に断ってきただろう。
好奇心旺盛でヤンチャ、子供の中の子供おそ松を目覚めさせられて良かったと朝一に思ったウザイ感情とは逆に胸を撫でおろしてしまう。
早速マスターに村のお店の情報を教えてもらい、私達はその場所へと移動する。
途中で松野家3人がそれぞれ違う物に目が行き、買いたい衝動になっている所を止めて引きずるように目的の場所に到着した。
場所は村の入り口からは正反対の場所で、村の端にある丘の上。
草木が生い茂るそこは見ると一見とても懐かしく感じるような安心する一角になっていた。
少し古びた沢山の羊皮紙の巻物や鮮やかに光る色々な歪な形の石や杖、本と沢山のものがざんばらに入り口に並べられ、見た目だけを言うのなら昔で言う古本屋さん等に近い佇まいをしている。
このゲーム滅茶苦茶な癖にこういう所はちょいちょい私の好みを刺激してくるな。
「思ってたより相当歴史が長そうなお店だねぇ?」
「うん、でもこの佇まいがなんて言うのかな……それっぽくない?」
「あー、ぽいぽい!!」
「フッ、試練の臭いがプンプンするぜぇ」
逆に考えて今時のお洒落な雰囲気のお店だったら引くかもしれない、逆にね。
ほら、私専らあっちの方では休みの日は引きこもりだし。
RPGって言ったらやっぱ多少こういう雰囲気は欲しいよねぇ。