第21章 【番外編】マツノトクエスト 第二十章
よし、話を戻そう。
時は金なりとも言うしね。
周りの宿泊客達にチラチラ見られてしまい、咳払いをしてやり過ごすが如く、もう一度座り直す私。
まだおそ松が何か言いたそうだがそこは口を挟ませない。
「あのね、今日はクエストに行く前に先に行きたい場所があるの」
本当は早くクエストにも行った方がいいだろうし、お金だって使わない方がいい。
それはわかっている、わかってはいるんだけど……。
「スキル習いにいかない?」
「スキルって、ナス子姉は昨日新しいの覚えたばっかじゃなかった? 僕の制止も聞かずに」
【 トド松 の 精神攻撃 が ナス子 の胸に刺さる 】
「うっ」
「そうだな、あのスキルはロマンだったが内容をよくよく聞くと攻撃対象すらランダムらしいな……あれは果たして使えるスキルだったのか? ポイント600も使っただろう? ん~?」
【 カラ松 の 精神攻撃 ナス子 の胸に刺さる 】
「ぐぅっ」
「はーい、俺昨日コイツに電撃食らいましたーっ」
【 おそ松 の 痛恨の一撃 ナス子 に10のダメージ 】
「どはっ」
3人の言葉の矢が胸に刺さり心臓を押える私はわざとらしく呼吸を荒くする。
「や、やるな……松野家兄弟……トド松の辛口だけに飽き足らずまさかカラ松やおそ松にまでやられるとは」
私の迫真の演技などさもどうでもいいと言うシラけた目で注目されて、また咳払いをし、何事もなかったかのようにまた本題に戻る。
「でね! スキルなんだけど━━━━━━」
「待て待て待て、俺のだけはちょっとコイツらと意味違うからね??! ていうかお前昨日、俺に攻撃したの俺が気づいてないって思ってたろっ」
「………テヘ」
「テヘじゃねぇよ! ぜんっぜん可愛くない、がっかりしか出て来ない!!」