第20章 【番外編】マツノトクエスト 第十九章
「ちょ、おい、札が破ける! 破けるから、放せって!」
「いーい? 絶対に賭け事とかお姉ちゃんの店とかお酒に使わないでよ?!」
「わーかってるって! でも、酒はちょっとくらい……」
「…………まぁ、少し、なら」
「いよっし!! さっすがナス子ちゃぁ~ん! 伝説の乙女! 純潔!! ひゅ~♪」
「殺す」
なんて話しながらやっと部屋に戻ると、待っていたかのようにカラ松とトド松が二つのベットに腰掛けていた。
何か談笑はしてたみたいだけど部屋を開けるとその談笑はピタリと止まりコチラに顔を向ける。
「や~、いい風呂だったぁ! あったまったわぁ~」
「体の芯まで冷えてたしこの宿にお風呂がついてて本当に良かったねぇ」
「あぁ、銭湯が恋しいけどなーっ」
私とおそ松は会話をしながらソファに隣掛けで座って満足顔である。
すっかりおそ松のテンションにつられてしまった。
「いや! 何二人で和んでるの?! ぼくら待ってたんだけどぉ?」
別の次元だが、和みのおそ松はどこでも健在な気がする。
なんだろうね、おそ松って人の毒気を抜く能力でも持ってるのかな。
あぁ、でもそれなら十四松もそんな感じかな。
「う”ぅん!!……説明をしてもらおうじゃないか二人共
俺達はまだ何もわかってないんだが?」
そうだった、二人に事の顛末を説明するって言ってたんだった。
「えー……、俺もうさっきナス子に説明したばっかなんだけど」
「面倒臭がらないでよおそ松兄さん! ったくホントダメダメだな」
「記憶戻った途端ディスるのやめてくれる?! 怖いねぇ、ドライモンスタ~」
「うぉっ、ちょっと! 人に引っ付くのやめろ馬鹿!!」
どさくさに紛れて腰におそ松が巻き付く。