第20章 【番外編】マツノトクエスト 第十九章
私から二人の体が離れて、今度は二人はおそ松に体を向ける。
どちらとも凄く驚いた顔をして私とおそ松を交互に見た。
「へへ~ん!! なんかこういう言葉で合ってんのかわかんないけど……ただいま! 勇者であり長男様のご帰還だぜぇ、お前ら喜べよぉ?」
フフンっと鼻を鳴らし、鼻の下を笑いながら擦るおそ松の姿。
本当に調子いいんだからコイツは。
勇者だからってこんな記憶の戻り方ズルくない?!
勇者=主人公だもんね、嬉しいけどゲームの主人公みたいな位置って羨ましいいいぃぃ。
「後で詳しく説明してよね、おそ松兄さん! それよりまずは二人共すっごい濡れてるからお風呂入ってくれば? なんか服もボロボロだし」
「それよりとか言っちゃう?! お兄ちゃんが折角戻ってきたってのに冷たいねぇ~」
「うるさいな馬鹿長男! ぼくらは部屋に戻って待ってるから早く戻ってきてよ?!」
トド松は素直じゃないなぁ、私には言われたくないとか言いそうだけど。
若干目が潤んでいる所を見るあたり、カラ松もおそ松の事も大事なお兄ちゃんなんだな。
絶対にそれは口に出される事はないけど、お姉ちゃんも心臓がキュっってなるわ。
カラ松、トド松は先に部屋に戻り、私とおそ松は風呂に向かう。
ゲームの世界と言えど体感ゲームだからか水の中は冷たいし、死にかけるってあんな風なんだと思うといくら蘇生してもらえるとしてもちょっと怖いと思った。
湯の温度でやっと心が落ち着いて、さっさと体を洗ってお風呂から出た。
その後おそ松と合流して二人でクエスト報酬を貰いに行って、実はセイレーンの討伐クエストも張ってあったようで、それもこなした事からプラスで50000Gをいただいてしまった!
こればっかりは勇者おそ松様様である。
「凄くね?! 合計で120,000だぜ?! 今日頑張った分も合わせると全部でいくらになんだ? もしかして150万Gってやろうと思えばすぐ溜まるんじゃ……」
「結構おいしいクエスト多いもんね? けど今日が満月じゃなかったらセイレーンは現れなかったから私達の運も良かったのかも!!」
パーティの財布は一応リーダーであるおそ松に握られている為仕方なくお金を預けるが、どうしても疑いの目で見てしまう。