第20章 【番外編】マツノトクエスト 第十九章
「……はぁ……はぁ……どこまで行ったんだよアイツっ……」
森に入ってしばらく歩いたが、まだ見つからない。
もしかしてこっちの方角じゃなかったとか?
あー、パーティーメンバーの居場所がわかる地図とか欲しいわぁ……
でもあれ高いんだよな。
森の中にもアンデットは出現する。
ただでさえ夜で視界が悪いのに、森の中は木々が邪魔して戦いにくいし、不意打ちもくらいやすい。
ふいに風が吹いてきて、視線をこらすと先に水場があるのがわかった。
湖かなにかわかんなかったけど、視界が開けてそうだったから、そっちに足を向けた、その時。
「━━━━━! ━━━━━━━!!」
「!! この声っ」
水場の方から、聞いたことのある女の声ってか悲鳴みたいなのが聞こえて、俺はそっちに走り出した。
近づくと、ナス子が今まさに魔物に水の中に引き込まれようとしていた。
アレやばいやつ。
「おいっ……!」
急いで駆けつけようとするが、またも突然現れたアンデットに道を阻まれる。
しかも数多いっ!
「っだー! 邪魔だっつーの!! 急いでんのに!」
こういう時、戦闘方法がツボ投げと剣しかないっつーのは面倒だよなぁ。
剣だってそんな使ったり普段はしないし。
魔法とかだったら? いっぺんにこう、ぐわーって! ぐわーって一掃させられんのになぁ。
勇者って魔法は覚えられねぇのかな?
そんなことを考えながら戦えるほどには、強くなった俺。
だけど、数が多くて時間をとられてしまった。
ナス子のところへ駆けつけ、そばにいたアンデットを片付けて、水の中に飛び込む。
すでに気を失っているナス子を、なおも水底へ沈めようとしていた魔物が、俺を見つけて襲い掛かってくる。
「っ……! がぼっ……!」
水の中で、うまく身動きが取れない。
なんだよこの魔物っ、えーと、セイレーンだっけ? 人魚?
人魚ってもっとエロくて可愛いお姉さんみたいなモンスターじゃないの?!
全然可愛くねぇっ! こわっ! ピラニアみたいなんだけどっ!
でもそのおかげで、躊躇なく刃を立てることが出来るってもんです。
俺人間だから肺呼吸なのね? 水に潜っていられるの限界があるからっ!