第20章 【番外編】マツノトクエスト 第十九章
「なんだ、ちゃんとクエストはこなしてんじゃん! よくやった!!」
「うぉっ、ほんとだ!! こ、これセイレーンの鱗だよね?! うは、綺麗っ」
「スッゲェな! ただ溺れて死んでいくだけで終わらなくて良かったなぁ」
うむ、本当だ。
でもおそ松が来てくれなかったらもう私はダメだったと思うがあまり褒めると、私のよく知るいつものおそ松は調子に乗るので、私は笑顔だけを返した。
【 ナス子は セイレーン の 鱗 を手に入れた 】
やったぜ、ガイコツクエストで20000G、鱗で50000Gと中々いい値段になった!
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二人で帰路につきつつ、おそ松に私が目を覚ますまでの経緯を聞いた。
私が怒って部屋を飛び出した後━━━━━━━━━━━━━━……
━━━━━━━━━━━━俺は、カラ松とトド松に怒られていた。
「ちょっと、おそ松兄さん……アレはないわぁ……ナス子姉が怒るのも当たり前だよ」
「だって信じられるわけねぇだろ、俺が記憶喪失で、お前らと兄弟、しかも六つ子? すんなり信じろってほうが無理な話だと思うけどね、俺はっ」
なんで俺がこんな軽蔑されたような目で見られないといけないわけ?
こういう視線には慣れてるような気もするけどさ、俺仮にも勇者よ?
しかもこの二人は俺のパーティーメンバーなわけで。
「おそ松兄さんの言い分もわかる、わかるよ。ぼくもカラ松兄さんもそうだったから。でもわざわざあんな言い方しなくたっていいんじゃないの?」
「お前らが俺のこと騙そうとすっからだろうがぁ!」
「だーかーらぁ! 騙してなんかないんだってぇ……! なんっでここまで頑なに信じないかなぁ?! 逆に!」
「トド松」
カラ松が、不意に聞いたことのないような真面目な声でトド松を呼び、一瞬で空気がピリついた気がした。
コイツこんなまともな顔も出来るんだなぁ。
初めて見たかも、こんな表情。
カラ松は、トド松を一歩後ろに下げて俺の正面に立ってベッドに座っている俺を見下ろしてくる。